都筑区池辺町3774にある株式会社グリーンハウスの横浜食品流通センター(左)をふたりで訪問してきた。 事務所も倉庫も精米所も会社名と同じ、緑色の外観である。この地域には工場が多いが、グリーンハウスの緑は、離れた所からでもよく目立つ。 センター長の山吉さんと、仕入管理部の久保田さんから会社の概略を聞いたあとに、作業の現場にお邪魔した。精米については富樫さんが、米の品質検査については吉岡さんが、細かい質問にもていねいに、答えてくださった。
グリーンハウスは、官公庁・オフィス・工場・学校・病院・シルバー施設などでのフードサービスの提供を中心に、レストランやホテルの経営など、「食とホスピタリティの提案型企業」として発展している。 創業は終戦直後の1947(昭和22)年。創業者の田沼文蔵氏が、「復員してきた入寮学生の食事の面倒を見て欲しい」と、慶應義塾大学の教授に頼まれたことに始まる。「若い学生のために食糧を確保したい」。創業者が食堂事業をはじめるきっかけは、こんな社会的正義感からだった。 日吉校舎が進駐軍から返還され、1950(昭和25)年に大学と高校の食堂経営が始まった。左写真は、当時の日吉キャンパスの食堂の様子。 学生から社名を公募して決めた有限会社「グリーンハウス」を経て、1959年に株式会社化。食糧難時代に世話をした学生が社会人になり、「社員食堂はグリーンハウスで」と声をかけてくれたことが、その後の成長の大きな後押しになったという。
横浜食品流通センターは、1996年10月に設立された。神奈川・東京中西部・山梨・静岡・長野・埼玉県西部の約900ヵ所の食堂やレストランなどの調理場に食材を配送している。 山吉さんと久保田さんは、物流の作業予定をていねいに説明してくださった。 受注受付は9時〜15時45分、出荷指示は13時30分と18時の2回、出庫は14時30分〜24時。出荷作業は1時〜8時。 作業予定がきちんと決まっている事で、スムーズに配送できる。こういった工程にもコンピュータが駆使されている。システムがしっかりしているのだろう。ミスはないという。 私たちが訪問したのは午前中。オフィスの従業員は、パソコンを前にして忙しく手を動かしていたが、常温倉庫にも冷凍倉庫にも、ほとんど作業員がいなかった。トラックの出入りもほとんどないようだ。 作業予定をみると、倉庫の物をピッキング(棚から商品を選ぶ)する出庫は、午後の時間帯。トラックで各地に向かう出荷にいたっては、夜中である。倉庫が閑散としていて、トラックも待機中(左)だったが、その謎が解けた。 「都筑区ではどこに配送していますか」「電機メーカー・食品メーカー・保育園など数ヵ所の食堂を運営しているのでそこの調理場に配送します。ほかに、ららぽーと横浜にある、とんかつ新宿さぼてんや中国料理の謝朋殿炎菜房を経営しています」。
ここで扱っている商品はおよそ、1800アイテム。そのうち約200アイテムは、グリーンハウスのPB(プライベートブランド)だが、他はいろいろな業者から仕入れている。グリーンハウスが業者に発注しているのかと思ったが、そうではない。受注状況をウェブ上で見た納入業者が、在庫補充をしている。無駄な商品で倉庫が満杯になることもないし、常に新鮮な商品が補充されることになる。
次に訪れたのは常温倉庫。缶詰・調味料・乾物など常温で保管できる商品がうずたかく積み上がっていた。常温とはいえ、20度に設定されている。まだ作業の時間にはなっていないので、折りたたみコンテナが出番を待っていた。
ここは流通センターだから、業者から納入されたものを配送すればいいようなものだが、年間1万トンの精米工場を持っている。精米したばかりの美味しい米を届けたい一心からである。
ここで使っている米のほとんどは、北海道産の「きらら」。訪問した日も、今年の作柄調査に北海道に出張しているということだった。玄米の大きな袋には検査証明がついているが、それでも美味しい米にするためには、ヌカを取り除く以外の作業をしなければならない。特に2年前に導入した異物混入防止装置や残留レス装置は、すぐれものだ。
次に訪れた精米品質管理室の仕事を説明してくれたのは、吉岡さん。ここでは、実際に炊いたご飯の品質を管理している。食堂には「今日のご飯はきのうと違うんじゃない。きのうの方が美味しかった」という苦情も寄せられる。こういったクレームが起きないためには、品質の安定をはかる必要がある。そのために、食味を数値化している。
食品流通センターの訪問ではあったが、精米工場と精米品質管理室を見せてもらったことで、グリーンハウスの根底にある「安全衛生管理を徹底する」という心遣いを肌で感じた。こんな心遣いから生まれた食堂やレストランで、ぜひ食べてみたいものだ。(2009年9月訪問 HARUKO記) |
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