都筑土木事務所(左)を2人で訪問してきた。事務所と名がついているので、区役所とは別のビルにあると思いこんでいたが、2007年9月に区役所の4階に移転した。

水再生センターを訪ねたときに、区内の下水道用マンホールは汚水と雨水に分かれていることを知った。この時以来、道を歩くときに下を向く癖がついてしまった。驚いたことに、わずか20メートルぐらいの間に、汚水と雨水のマンホール以外にもたくさんのマンホールを発見。特に交差点には4〜5個ぐらいあることも珍しくない。

「区内にはマンホールが何個ぐらいあるんですか」と再生センターで聞いたところ、「マンホール関係は、土木事務所の管轄なんです」。こんな伏線があっての土木事務所訪問になった。

下水道・公園係長の福島さん、道路係長の加藤さんが別個に対応してくださった。

 道路はライフラインの収容施設

土木事務所は、道路・下水道・公園(一部はのぞく)に関する業務を行っている。川も土木事務所の管轄のように思えるが「区内を流れている早渕川は県が、鶴見川は区間によって国と県が、大熊川は県が管理しています」ということだった。

マンホールの不思議が訪問理由のひとつだったので、最初にマンホールについて質問してみた。マンホールは、文字通り人間の穴。メンテナンス・修理・清掃をするときに人間が入るための穴である。

福島係長(左)は「マンホールといっても、土木事務所に関係あるのは主に下水道の汚水と雨水です。ほかに、水道局が管理している水道の仕切り弁・ソフトシール弁・バタフライ弁・空気弁・消火栓、NTTの電話ケーブル線、東京電力の電力ケーブル線など用途によってたくさんのマンホールがあるんですよ」と説明してくれた。

再生センターで聞いてわからなかった「区内のマンホールの数」だが、「場所を示した図面はありますが、それを数え上げていかねばなりません。何個あるかは把握していません」とのこと。それだけたくさんあるということだ。


再生センターのページには載せなかったが横浜のシンボル・ベイブリッジが図案化された汚水用マンホール 水道管の工事などで一定の区間の水を止めるときに使う。 ソフトシール弁も水道工事のため。左に水をかたどった図案と横浜のマークがある。
消火栓には、黄色のペンキが塗ってある。 TEPCOマークの東京電力のマンホールは角形電気と印字してある円形マンホールもあった。 NTTが電信電話公社だったころのマークがついたマンホール。

道路は人間が歩く所・車や自転車が走る所と単純に思っていたが、どうしてどうして、道路の下には生活していく上で不可欠のライフラインの基盤整備のほとんどが収容されている

上の写真以外にも、「汚水幹線」「空気弁」「バタフライ弁」「電気」「電話」と書かれたもの、何の印字もないものなど数々見つけたが、土木事務所訪問という主旨から離れるので、この辺で終わりにしておく。

余談になるが、東京ガスのガス管も地下に埋設されているはずだ。ガスのマンホールは見たことがない。「ガス管の点検はどうするのだろう」と、13回目に訪問した東京ガスに聞いてみた。

「ガスの流れを止める蛇口のような設備を配置する必要があるため、見た目は小さいのですが、道路に東京ガスのマークが入ったマンホールのような蓋があります」という回答をいただいた。

 都筑区には共同溝もある!

「道路の下はワンダーワールドですね。どんな風に入り組んでいるんでしょう。ヨーロッパの映画には、地下道を舞台にした作品がありますよね。日本では見物できないんですか」と加藤係長(左)に聞いてみた。

「地盤が固いヨーロッパでは100年以上前から地下道ができていますが、日本は地震もあるし関東ローム層の地盤が弱いから、人間がゆったり入り込めるような地下道は無理です」。

「でも、都筑区の地下には、ライフラインを1ヵ所に収容する共同溝があります。横浜ではMM(みなとみらい)地区と、都筑区にしかないんですよ」。

都筑区の共同溝は、センター南の総合庁舎一帯に1300メートル、センター北の商業施設一帯に700メートル、全体延長が2000メートルもある大規模なものだ。共同溝を利用している地区は、電信柱や見苦しい電線がないので非常にすっきりしている。地震や水害などの災害で、ライフラインがやられる心配もない。

横浜に2ヵ所しかない共同溝をぜひ見てみたい。共同溝を管理している「横浜都市みらい」は7回目の企業訪問で取り上げたが、その時は見学しなかった。施設管理部の井上さんに無理を言って、案内していただいた。

想像していたように、ワンダーワールドだった。水道管・東京電力の高圧ケーブル・NTTのケーブル・ケーブルテレビ・熱供給管などが地下のコンクリートの巨大な箱にすっきりと収まっていた。中央監視室での監視のほかに毎日巡回もしているので、トラブルはないという。

共同溝の入り口。階段を下りて地下に入っていく。 冷房と暖房を送っている熱供給管。 右下のブルーは水道管。上の黒い管はCATVのケーブル線。


   1人あたりの公園面積は実質1位

以前は横浜18区の公園を4ヵ所の緑地事務所で管理していたが、平成17(2005)年以降、身近な公園は区の土木事務所の管轄になった。茅ヶ崎城址公園・大塚歳勝土公園・都筑中央公園・都田公園など歴史公園や大きな公園は、今でも北部公園緑地事務所が管理している。

横浜市環境創造局が、区ごとの「1人あたりの公園面積」を作成している。これによると、都筑区は金沢区に次いで2位(平成19年10月現在)である。左は、筆者がベスト10をグラフにしたもの。

「金沢区は簡単に散歩できないような山も含まれていますから、整っている公園面積としては、都筑区は市内一ですよ」と福島さん。街中に緑が多いことは実感しているが、数字として示されると嬉しいものだ。

それでも、被緑地面積は、横浜市も都筑区も年々減少している。開発が進み、山林や野原だった地にビルが建っているからだ。昭和50(1975)年には市域の45%を占めていた緑が、平成16(2004)年には31%になってしまった。

緑地が減っていることの対策として、市が行っている「150万本植樹行動」は、開港150年の年、つまり今年までに150万本の木を植えようという取り組みだ。この3月で、約70万本に達している。それなりの成果はあがっているようだ。

公園の草刈りは春と秋の2回、刈り込みは必要に応じて、委託された業者が行っている。135のほとんどの公園にある公園愛護会の存在も見逃せない。愛護会のメンバーは、草花の手入れ・水やり・草取り・清掃・見回りなどきめ細かく見守っている。町内会ぐるみの場合もあるが、竹林や植栽に詳しい方が自発的に活動しているケースが多く、土木事務所は大助かり。拠点の公園には、土木事務所が提供している耕耘機・草刈り機・ほうきなどを納める倉庫が設置されている。


都市計画道路の総延長は横浜でいちばん長い   

区内を車で移動していると、整備された清潔な道路が縦横に走っていることに気づく。それもそのはず、都市計画道路(都市計画法に基づいた都市基盤に必要な道路)は57,250メートルで横浜市の中でいちばん長い。計画された道路の実に92%が整備されているのだ。田畑や山林が多かった地を開発した都筑区が、古くからある区にくらべ整備率が高いのは当たり前かもしれない。

大規模な商業施設完成などさまざまな要素で、車や人の流れは変化する。それに対応して、計画道路の見直しや道路改良事業もしている。改良事業は、警察からの渋滞・事故情報や、住民の要望にもとづいて行うことが多い。今は、薮根、佐江戸交差点付近、川和高校前の改良事業を進めている。

幹線道路はもちろん、住宅街の道路にゴミが散乱している光景はめったに見ない。「夜中に清掃車が掃除をしているんですよ」と加藤さん。車の少ない深夜に清掃車が走っていることなどまったく知らなかった。清掃係の方にお願いして写真(左)を撮ってもらった。

公園愛護会と同じような地域のボランティア団体ハマロードサポーターも結成されている。身近な道路の清掃や草取りや花壇に花を植えるなどして、町をきれいにしていこうとする団体だ。区は清掃の道具や飲料水を提供したり、ゴミを収集するなどの協力をしている。

道路がきれいになることで、住民が快適に暮らせるのはもちろんだが、犯罪者が入り込みにくい効果も期待できる。ハマロードサポーターの参加団体はまだ13(平成20年現在)だが、どんどん増えて欲しいと思った。
(2009年2月訪問 HARUKO記)

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