DはDementia(認知症)の頭文字で、代表は横尾佳子となっている。10年前から開いている認知症カフェ「コツコツ」の代表もしている。認知症の話題を聞かない日がないほど身に迫っていることもあり、聞きたいことがたくさんある。 彼女はいつも笑っていて余裕ありそうに活動しているので、「ひと訪問」の約束をする時になって「こんなにも忙しいのか」と驚いた。 やっと時間がとれた夕方4時半から6時半までのインタビューになったが、まだ話し足りない、というより私が理解できないこともあったが、約束の2時間を超えたので、お仕舞にした。 「夕食は外食かな。今日は主人が帰っているので」と笑顔を残していった。
「すみれが丘にはいつからお住まいですか」 「子どもが生れたばかりの1999年からで、25年になります。最初は軽い気持ちで越してきましたが、子育てに心地よい町でした。お母さんたちが、誰の子でも見守るという雰囲気があり、自然環境もいいし気に入っています」 「パンフレットには、~誰もが誰かを見守り お互いを気にかけあうまちづくりを~とあります。みまもりあいアプリ(行方不明者捜索アプリ)も活用するようですが、私はそのアプリを入れていませんし、いつ逆の立場になるか分かりませんが、アプリがあるなら少しでも協力というか慣れておきたいんです」 「10月のハロウィンフェスタでは、捜索のイベントではなく、すでにアプリを導入している方々へ向けて予行送信をしたり、新規加入を勧めたり、子ども向け認知症クイズなどを行いました」 「でも、まだ一般的にはアプリは広く普及はしていません。個人情報などさまざまな問題が出てきます。家族が認知症だと公言する方はまだ少ないし、偏見を持つ方が多いんです。徐々にでもいいからお互いを気にかけ合うまちづくりをしたいと思っています。認知症になっても安心して暮らせるまちは、委員全員の目標です」 10月に北山田地区センターで上映された映画『ぼけますから、よろしくお願いします』は、Dフレンドリー委員会の主催だった。認知症の妻をかかえた老夫婦の日常を娘である信友直子さんが撮影したドキュメンタリー。映画館でも大ヒットしたそうだが、見ていてつらくなりながらも、ユーモアある老夫婦の会話に救われた。 Dフレンドリー委員会の取り組みが一筋縄ではいきそうにないことは分かったが、こうした映画や講演などを通して、長く活動を続けて欲しい。
「子どもが小学生になったら、何か資格を得て働きたいと思ったのです。それが行政書士でした」 「行政書士は官公庁に提出する書類や契約書の作成が主な仕事です。 自動車の登録もやっていますが、今は主に民事関係です。相続や遺言でお困りの方はお手伝いできます。(045-515-1810)」 成年後見人もしています。成年後見は、主に判断能力が低下した方を対象に、お金の管理や生活支援をしています。夜中に呼び出されることもあるんですよ」 「大変なお仕事ですが、成年後見人は誰でも出来るんでしょうか」 「一般的に後見人になるのに特別な資格は必要ありません、民放847条 欠落事由に該当しない限り。
認知症カフェと聞いた時は、認知症の方の集まりだと思ったが、実際には認知症の方の参加はそれほど多くない。認知症のことを知り、参加者の癒しの場にしたいというスタンスだ。 「自分が認知症予備軍だし、スタッフのほとんどが知り合いなので、なるべく出るようにしていますが、いつも会の運営が細やかで献身的に動いていることに感心しています。でも、若い横尾さんが、なぜスタッフになったのか少し不思議に思っていました」 「成年後見人を必要としているのは、認知症の方が多いのです。認知症の事をもっと知りたいと思っているときに、コツコツ発足のニュースを聞き、参加させてもらいました」 「認知症カフェの最初はオランダでしたが、日本では2015年に厚生労働省が認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)を掲げました。このカフェも、東山田地域ケアプラザ、区役所の高齢・障害支援課、北山田コミュニティハウスの協力を得、社会福祉協議会のふれあい助成金や善意銀行配分金を受けています」 「コツコツはお互いのハートを優しくノックする音、地道にコツコツ歩んでいこうと名付けたと聞きましたが、ステキなネーミングですね。酷な質問ですが、10年間で成果は出ていますか?例えば認知症の進行が遅れた方がいるとか」 「現実は綺麗ごとばかりじゃないこの世界です。スタッフのほとんどが専門家ではないので、私たちではどうにもならない事が山ほどありますが、みんなが知恵を出し合っていけたらと思います」
毎回、専門家(医療や介護のプロ)の話や音楽会、手品、紙芝居、腹話術など癒しのプログラムも用意している。問い合わせは横尾さん(045-515-1810)か島田さん(045-592-1621)。 「100回以上開催していますが、出演者の交渉など大変ですね。準備に時間をかけていることがよく分かるカフェです」。 写真は100回記念の時のスタッフや協力者のみなさん。この方たちのボランティアで成り立っている。 「第1金曜日には運営会議を開き、自由に意見を出し合います。本番の第3日曜は終了後に1時間ほど反省会をしています。これ以外に認知症サポーター講座を開いています。先日はすみれが丘小学校4年生に寸劇と座学をしました」 「都筑区に認知症カフェは何ヵ所ありますか」 「最初は9ヵ所ありましたが、今は6ヵ所です。詳細は横浜市のサイトに認知症カフェ一覧が載っていますが、都筑にはコツコツ以外に、ほほえみ交流カフェ(大丸)、さわやかカフェハーモニー(東山田)、どんぐりカフェ(荏田南)、ファミリーカフェ(池辺)、ふれあいカフェ(大棚)があります。地域に関係なく、お気軽に参加してくださいね」
「このサイトでは差し支えない限り、プライベートな事もうかがっていますが、趣味や息抜きの過ごし方を教えてください」 「私のキーワードは音楽と温泉とガーデニングと鳥の4つです。学生時代からやっているバンドのキーボード演奏は今も3つの楽団で楽しんでいます。温泉も大好き。1泊で5~6回入ります」 「ガーデニングは主に春にやっていますが、ツルバラがきれいに咲きます。鳥も好きなんです。弱っている雀を保護することもあるんですよ」 横尾さんの4つの趣味は次の写真でどうぞ。
4人に1人が認知症になると言われる。横尾さん達の活動がもっと必要になる時が迫っている。後継者も育ててますますの活躍をお願いしたい。私たちも出来る事はお手伝いしたい。 (2024年11月訪問 HARUKO記) |
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