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市営地下鉄「センター北」から徒歩8分の場所に「都筑民家園」(以下、民家園)がある。牛久保にあった長沢家を移築し、横浜市の施設として1997年に開園した。 民家園をご存じない方のために、民家園について次項で少し紹介する。 名刺には「NPO法人都筑民家園管理運営委員会」の理事、事務局長とある。少しややこしい肩書だが、簡単に言うと民家園の事務局長である。 事務室で行われたインタビューでは、古い資料も見ながら、穏やかな語りで分かりやすく説明してくださった。 事務室に初めて入ったことで、木村さんの特技を知ることになった。机や本棚などを手作りし、使いやすい部屋に改装している。
港北ニュータウンとして開発された都筑区の大部分は、里山と田畑がある農村地帯だった。開発にともない江戸時代から続く民家のほとんどが壊されたが、江戸時代の古民家が三つ残っている。 一つ目は勝田町の関家住宅。代官だった屋敷の面影を残し重要文化財に指定されているが、原則非公開。 二つ目が牛久保の組頭や名主を務めた長沢家。解体移築して民家園に生まれ変わった。市の指定文化財。 三つ目が荏田町の内野家が、せせらぎ公園に移築され古民家になった。市認定歴史的建造物。この三家、特に関家については2008年に筆者が「関家住宅と古民家」として取材しているので、お読みいただきたい。 「ひと訪問」が目的だが、木村さんの活動の場も知って欲しいので民家園の写真を3枚ほど。「大塚・歳勝土遺跡公園」と一体になっているので、歴史も自然も安らぎも感じる素晴らしい場である。主屋の左手には2010年完成の茶室もある。茶室開きも取材しているので、興味のある方はどうぞ。
「みなさんに聞いているのですが、いつ頃、なぜ都筑区に越していらしたのですか」
「ご活躍を遠目に拝見しているのですが、港北ニュータウンが木村さんにとって一番よかったんじゃないですか」 「本当にそう思います。美大でデザイン学科室内建築を専攻しM重工に勤めていましたが、現役の頃から民家園や地域活動の数々を知り、憧れていました。2009年61歳の時に定年退職。民家園の事務局スタッフになり、2011年にNPO法人として指定管理を受けた時に、事務局長代理になりました」 「小さい頃からもの作りやアートが好きだったと伺いました。地域活動に関わるようになり、発揮する場が出来てお幸せですね」 写真は自作の茶室の枝折戸(木村さん提供)
「以前、横浜都筑ミュージカル実行委員会(YTM)という団体があり、”不思議の森の三日坊主”などの公演をしました。劇団四季メンバーの指導もあり、素晴らしいミュージカルでした。私は大道具作りを手伝ったのですが、劇団四季の照明プロの飯塚さんには照明の面白さやノウハウを教えてもらい、照明の奥深さを知りました。民家園での催しの時に非常に役に立っているので感謝しています」 華道家上野雄次さんの「花会」作成の青竹の中での「しの笛」演奏会は、照明効果が、幽玄の世界に誘う。(写真は木村さん提供)。話を聞くまでは、演劇やコンサートの照明を気にすることはなかったが、照明が演目の良し悪しにも繋がるのだなと、今頃になって気付いた。
「今はやってないのですが、現代アートとの出会いが楽しかったですね。都筑アートのプロジェクトリーダーを10年ぐらいやりました。アートの舞台は隣接する大塚・歳勝土遺跡公園と民家園です。弥生時代の遺跡と現代アートという異色の組み合わせが、好評でした」 「華道家、人形作家、彫刻家、木工作家、太鼓奏者、白拍子パフォーマー、画家、打楽器奏者などのプロも参加してくれました。他に中川小の児童や中川中、中川西中の中学生など、たくさんのサポーターが支えてくれていつも大盛況でした」 写真は第1回アート月間記録集の表紙。編集の都合で表紙の一部を切り取っているが、現代アートにふさわしく垢抜けしている。筆者は見学する機会を逸してしまったが、おさめられている写真の数々を見て、見逃したことを残念に思っている。再開を待っている。
「民家園は来年で30年になりますが、来園者数に変化はありますか。遺跡公園を含めた大規模な行事が少なくなり寂しいと言う方もいます。個人的には、節分の時に以前は豆をまいていたのに、今は豆まきを出来ないのが残念です」 「豆まきについては、道路に落ちているものを拾ってはいけないという世間の風潮が影響しています。でも来園者は年間5万人以上います。平日は行事が少ないので閑散としている日もありますが、土日はイベントもあり来園者は多いですよ。予約が取れない団体もあります。来園者は入口にセンサーがついているので、カウントできます」 「たしかに年中行事表を見ると、盛りだくさんですね。五節句以外に節分、竹林講座、お月見ライブ、餅つきなど。他にも、しの笛コンサート、南京玉すだれ、はぎれ草履作り、和菓子作り、手打ちそば講習、着物を着る会など。茶室も土日はほとんど埋まっていますね」 木村さんが行事の写真をたくさん用意してくださったが、すべてを載せる余白がないので9枚だけ紹介したい。
アクセスや行事を知りたい方は民家園のHPで。電話045-594-1723も可能。 定休日は第2第4月曜日と12月29日から1月3日。 事務局長の定年は80歳、木村さんも2年で定年になる。1ヵ月に14日の勤務と伺ったが、五節句などの飾りつけは他のスタッフの手伝いがあるとはいえ、全てをこなしている。「子どもの頃からもの作りは好きだったが、都筑で出会った人々から良い刺激をもらった」と、謙虚におっしゃる。定年後も何らかの形で都筑のアートに関わってくださることを信じている。木村さんが都筑区に越していらしたのは、区民にとって本当によかったと思いながら、インタビューを終えた。 (2026年6月 訪問 HARUKO記) |