都筑区中川中央2丁目にある港北天然温泉「Spa Gardish(スパ ガーディッシュ)」を、3人で訪問してきた。地下鉄センター北とセンター南の中間にある「港北みなも」ビル3階に、入口(左)がある。 横浜市内には天然温泉がすでに10カ所以上あるが、スパガーディッシュは区内初の天然温泉だ。港北ニュータウンということで港北天然温泉と名乗っているが、都筑の地下1500メートルから湧出した正真正銘、都筑の温泉である。 マネージャーの友井さんが、取材に応じてくださった。
スパガーディッシがオープンしたのは、1年前の2007年7月20日。オープン直前に、渋谷区松濤の他社経営スパの掘削施設内で爆発事故が起こった。「地域住民から不安の声は上がりませんでしたか」と聞いてみた。「湧出場所はスパと別の場所にあります。当時は、お客様に安心していらしていただけるように、ご説明に努めました。今も安全と衛生には非常に気をつかっています」と、友井さんから心強い答えがあった。衛生面では、各浴槽の塩素濃度を1時間毎に測定している。 スパガーディッシュは、東急不動産(株)が経営し、全国30ヵ所でフィットネスクラブを経営している(株)東急スポーツオアシスが運営している。フィットネスクラブ東急スポーツオアシス全店の中でも、温泉を付帯しているのはここだけ。ニュータウンエリアは、全国にも類を見ないスポーツクラブの激戦区だが、オアシス会員は無料で温泉も利用できる。それが最大の強みになっている。 ガーディッシュは、ガーデン(庭)とディッシュ(料理)を組み合わせた造語。温泉の合間に、お茶や食事、リラクゼーションルームでくつろぐなどバリエーションに富んだ楽しみ方ができる。館内衣裳を貸してくれるので、いちいち着替える必要がない。 スパガーディッシュをときどき利用している人に聞いてみた。「遠くから友達が来ると、温泉に入りながらおしゃべりや食事をして1日過ごすのよ」「子どもの誕生日や運動会の後など、特別の日に家族で来るんです」「友人が家に泊まるとき、風呂掃除が面倒なのでここで風呂に入って、家では寝るだけ」「1人になりたい主人が、避難場所に使ってます(笑)」など、それぞれの使い方をしている。遠くの温泉まで行く時間はないけれど、安近短で非日常の経験をしたいというニーズにはぴったりなのだ。 オアシスは毎水曜日が定休なので、天然温泉をゆっくり楽しみたい方は水曜日がお勧め。ただし、偶数月の第1水曜は、施設メンテナンスのため、スパガーディッシュも休みになるので注意が必要だ。
取材するにあたって、私は初めて利用してみた。すぐ近くを地下鉄ブルーラインとグリーンラインや幹線道路が通っているにもかかわらず、喧噪さはない。光と緑と木と石。まるで、山奥の湯治場にいるような気分を味わえた。 マッサージやエステなどは有料だが、入館料をはらうと無料で利用できる風呂がたくさんある。女性の場合だが、源泉かけ流し・源泉循環風呂・寝ころび湯・壺湯・マッサージバス・ミルキーバス・スチーム腰掛け湯・冷水浴・カルダリウムサウナ、フィンランドサウナなどなど。どれも気持ちが良くて、一通り試すだけでもかなりの時間がかかってしまった。 特に源泉かけ流しは、地下1500bからの天然温泉である。かけ流し以外にも源泉循環風呂がある。「湯量は豊富だそうですね。循環にしないで全部かけ流しにすればいいじゃありませんか」と話してみた。「湯量が豊富とは言っても限りある資源ですから、当社ではエコを意識して循環式も取り入れています」。なるほど。 スパの営業時間は10時から24時まで。これ以外の時間もメンテナンスや清掃でフル回転しているので、私達が撮影できる時間帯がなかった。スパガーディッシュ提供の写真をご覧いただきたい。
ガーディッシュは「港北みなも」の3階と4階にある。天然温泉の所有者は、「港北みなも」を開発した三菱地所である。「みなも」の1室にある三菱地所ビルマネジメントの平野館長(左)に、温泉掘削の事情をうかがった。 「温泉をキーにした商業ビルを作って欲しいという地元地権者38名の声に応える形で、天然温泉が生まれたんです」と平野さん。「温泉が出なかった場合はどうする積もりだったのですか」と聞いてみた。関東ローム層の場合は、1500メートル位まで掘ればかなり高い確率で温泉が出るので、その心配はなかったのだという。 掘削専門の会社が、2006(平成18)年5月から2007(平成19)年6月まで工事を行った。「温泉が出るまでに、何かご苦労はなかったのでしょうか」。「なんの支障もなく、あっけないほど簡単に、1503メートルの地下から温泉を掘り当てたそうですよ」。源泉探しの苦労話を勝手に想像していただけに、拍子抜けしまった。 神奈川県温泉地学研究所の分析によると、泉質はナトリウム−塩化物(純食塩泉)、湧出量は270リットル/分、源泉の温度は42.5度。温泉法によると、地中から湧き出る温水・鉱水・水蒸気などで源泉温度が25度以上であるか、ナトリウム・マンガン・バリウム・ラドンなど19種以上の成分のうち一つ以上を規定以上含むもの温泉という。 この温泉は、ナトリウムをたくさん含み源泉は42.5度もあり、温泉の基準を充分に満たしている。泉質が似た温泉には、上川井温泉(横浜市旭区上川井)や大江戸温泉(東京都)がある。
「港北みなも」は、元気の源(みなもと)、港横浜のイメージに通じる「水面)(みなも)、「皆もっと集まって欲しい」という願いを込めてつけられた。 センター北駅とセンター南駅周辺は、それぞれ発展しているが、中間地帯が寂しいために一体感がなかった。北と南を点から面にしようという試みで「みなも」のビル(左)が生まれた。 センター北駅から徒歩5分、センター南駅からも徒歩5分と、両者の中間地点にある。徒歩5分というハンディを補うために、法定台数を超えた1000台の駐車場を確保。何も買わなくても2時間は無料にした。 このエリアには、モノは充分溢れている。足りない施設は、時間消費型のショッピングセンタ-だ。スパガーディッシュとオアシスは時間消費の代表的な施設だが、他の店舗も広い面積を使って独自の世界観を作っている。「みなも」には23店舗が入っているが、店舗面積が1000坪以上は4店舗、500〜1000坪が3店舗もある。ひとつの店舗面積が、いかに広いかがわかる。 「みなもに来れば、家族みんなで、一日中で遊べます。安近短を地でいくビルなんです。開業以来1年が過ぎましたが、大成功でした」と平野さんは胸をはった。 スパガーディッシュの取材をしているうちに、ビル全体のコンセプトを知りたいと思い、三菱地所ビルマネジメントも取材させてもらった。時間や気分を満足させる施設のさらなる充実を期待して、ビルを後にした。(2008年8月訪問 HARUKO記) |
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