青葉区市ヶ尾町541にある「イッツ・コミュニケーションズ(以下イッツコム)のメディアセンター(左)を、ふたりで訪問してきた。市ヶ尾町は、都筑区に接しているので、お隣さんだ。

メディアセンター以外に、本社(世田谷区玉川)、溝の口事務所、中原・港北支局のほか、iTSCOMスポット(相談窓口)や、iTSCOMスタジオ(サテライトスタジオ)などエリア内に複数の拠点がある。

ケーブルテレビの会社訪問は、初めてではない。区民に馴染みがあった「ケーブルネットつづきの森」を2006年に記事にしている。その「つづきの森」は、2010年にイッツコムと事業提携。大きくなったことで何が変わったのかも知りたかった。

メディア・コンテンツ部制作チームの宮崎さんが、業務内容の説明やスタジオ見学などに丁寧に対応してくださった。


   都市型ケーブルテレビ

ケーブルテレビは、山間部や大型のビルなどによって、東京タワーから出される電波の難視聴地域の解消を目的に誕生した。

イッツコムは、都市型ケーブルテレビとしては比較的早く、24年前の1987年、東京の渋谷区と横浜市緑区でサービスを開始した。当時は、それほど大型のビルが集中するような土地ではなかった。


「なぜ、こんな都会にケーブルテレビ局を開設することになったのですか」と、疑問をぶつけてみた。

「イッツコムは東急グループの会社です。設立時は”東急ケーブルテレビジョン”という社名でした。東急電鉄は線路を中心とした街の開発をおこなっていて、線路を引くだけではなく、交通・住宅・百貨店・ストアなどの生活インフラを整備し、最後に情報をお伝えするための情報通信を整備することになりイッツコムが出来ました」。

「ですからイッツコムのエリア(左)は東急沿線が中心となっています。ケーブルテレビは、民放とは違ってエリアが決まっているので、住まいや地域の情報をきめ細かく提供できるのが特徴です。身近な情報から生活に役立つ情報(地域のお店情報、市・区役所・学校・サークルなどの情報)を毎日生放送でお届けしています」。


地域の身近な情報や、生活に役立つ情報を伝えるメディアとしてケーブルテレビの役割は大きいが、歴史は古くない。ちなみにケーブルテレビ局は全国に大小あわせて約400社。


  東急沿線の半数の世帯が利用者

もともと、イッツコムはケーブルテレビの会社としてスタートした。

でも、ケーブル1本で、テレビだけではなくインターネット接続や固定電話としても利用できる(左図)便利さから、利用者が年々増えている。

今ではこの3つがイッツコムのサービスの柱となっている。

東急沿線にある12行政区(前項の地図)に住むすべての住民がイッツコムを利用しているわけではない。

対象世帯数127万1836世帯のうち、71万9680世帯(201106月末現在)がイッツコムサービスとつながっている。



 「地モトTVおかえり!」は必見 

iTSCOMTVサービスでは現在90以上のチャンネルを放送している。オプション(有料)で番組を増やすこともできる。またイッツコムは独自にチャンネルを持っていて、“地域情報をお届けする”「イッツコムチャンネル(11ch)」、“視聴者からのビデオ投稿作品を紹介する”「イッツコムチャンネルアクセス(114ch)」、“河川や道路の情報やお天気情報など暮らしに役立つ情報を24時間ライブ映像でお届けする”iTSCOM ch Live(119ch)」を放映している

これらのコミュニティーチャンネルの中でも毎日生放送でお届けしている地域情報番組「地モトTVおかえり!」(11ch)の担当者の一人、制作チームの宮崎さんは都筑区内のイベントやお祭りなどによく取材に訪れている。

「都筑区にどんな印象をお持ちですか」。

「若いファミリー層が多いので活気がありますね。新しい商業ビルばかりでなく、古い工業団地や農業専業地区もあります。古い寺も多いし、江戸時代からの伝統行事も残っています。都筑区には何でもそろっていて、取材の題材がたくさんあって魅力的です。ミカンを作っている農家さえありますよ」と宮崎さん。

区内の企業・施設訪問や”ひと”訪問をしている筆者も、感じていることは同じだ。ボランティアでやっている取材だけに、本職の記者から同じ感想が聞けるのは嬉しいものだ。

首都圏のキー局のテレビは、地元ニュースをほとんど流さない。それを補うのがケーブルテレビと言っていいだろう。「地モトTVおかえり!」(左)は、東急沿線の身近なニュースを扱っている。なかでも、東急電車の運転席から写した車窓風景は、5月に始まったばかりだが、反応が多く評判がいい。

都筑区のニュースは、2010年度には約70件を放送している。地元を知りたい方は、月曜から金曜日の夕方5時から5時半の11チャンネル「地モトTVおかえり!」をお見逃しなく。再放送は午後7時と午後9時から。

他にも、「街かどパシャリ」や「東急沿線プレミアムチケット・ポニッツ」で、地元の風景や地元の店などを紹介している。


   今は小さなスタジオを使っている

話を聞いた後に、制作現場の案内してもらった。思いもよらないことだったが、東日本大震災の影響による節電に、でイッツコムも協力していることがわかった。

照明器具が多いメインのスタジオは、照明やカメラ(3,4)などで大量の電気を使う。ということで71日から922日まではメインのスタジオは使わないようにしている。生放送も収録も、小さいスタジオ(カメラ1台)で代用している。

その他、メディアセンターでは一部の設備を停止し・照明の削減・ゴーヤを栽培しグリーンカーテンによる事務所内の温度上昇を抑制するなど様々な節電に協力をしている。

スタジオ以外に、副調整室、編集室、機材室などを見学。身近な場所に自主放送番組を制作するスタジオがあることを、訪問するまでまったく知らなかった。


7月〜9月は、節電の関係で照明器具が多いメインスタジオを使っていない。 副調整室では、映像をコントロールしている。 番組に使うテロップを、事前にパソコンで制作している。


   地域との交流

地域とのつながりを大切にしているイッツコムだけに、地域への貢献度も高い。環境貢献型自動販売機をエリア内に設置して環境保全に取り組む団体に寄付したり、行政が発信する防災情報を文字情報で流したり、地域の様々な活動にも協力している。

祭りや花火大会などの地域のイベントにはブースを出展し、2010年春にはイッツコムのマスコットキャラクター「コムゾー」がデビューして、人気を集めている。「コムゾー」は、デザインからネーミングまでを一般公募して決まった。

学生の社会科見学や、中高生の職場体験学習なども受け入れている。スタジオ内のキャスター席で原稿を読む体験をするなど、ケーブルテレビの仕組みや仕事について楽しく勉強する。見学会に参加して、数年後に「イッツコムで仕事がしたい!」とイッツコムに入社した人もいるそうだ。

区役所との協働取り組みとして、前項で触れた「地モトTVおかえり」の中で、行政情報や地域情報を積極的に放送するようにしている。

せせらぎ公園で行われたグルメフェスタin都筑夏祭り(2010年)。
コムゾーも登場
小学生5年生が、社会科見学でスタジオで説明を聞いている。

今は、新聞・ラジオ・テレビ・インターネット・ケータイなど、情報を得る手段はたくさんある。とはいえ、身近な地元情報は、なかなか得られない。地域情報を今以上に発信して欲しいなと思いながら、メディアセンターを後にした。(2011年7月訪問 HARUKO記)

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