66回企業訪問は、 横浜ビー・コルセアーズ。今年9月に開幕した男子プロバスケットボール最高峰「Bリーグ」のチームを運営する会社である。 来年3月には「センター北駅」に事務所やスタジオや飲食店を備えた拠点ができるが、今は東京の銀座に運営事務局がある。広報とバスケットオペレーション部のディレクター石合未夏(左)さんが、銀座から区民活動センターまで足を運んでくださった。 石合さんは、ご覧のように笑顔がステキな颯爽とした広報ウーマン。部屋に入ってきた瞬間、スタイルの良さと敏捷な感じから「彼女もバスケットボールの選手だったに違いない」と思った。 初印象に間違いはなく、東本郷小、東鴨居中、金沢総合高校、桜美林大学でバスケットボールの選手として活躍した。大学4年の時に、ビー・コルセアーズ公認のバスケットボールスクールで指導。卒業後に入社した。 インタビューの日は、都筑区での初試合(10月22日)まで9日というカウントダウンの表示がある日だった。話している間に何度も電話が入るほど超多忙なこの時期に、時間を割いてくれたことに感謝したい。
横浜ビー・コルセアーズは、企業名でもありチーム名でもある。横浜と名前がついているように、横浜を代表するチームなので、横浜文化体育館での開幕戦には、林市長も挨拶に立った。 でも、ホームグランドは都筑区北山田の横浜国際プール。私たちの都筑区に本拠を置いているプロのスポーツチームは他にはない。それだけで、なにがなんでも応援したい気持ちになってくる。 開幕戦は9月24日だった。でも国際プールは、9月末まではプールとして使っている。アリーナに変わるのは10月から4月上旬まで。だから開幕戦は、中区関内の文化体育館での試合になった。 Bリーグの試合は、9月24日から来年の5月7日まで。ビー・コルセアーズは、60試合のうち3分の1以上の24試合を横浜国際プールでこなす。都筑区がホームタウンである。 都筑区役所も応援している。インタビューした10月13日には、区役所のロビーに、左のようなカウントダウンが表示してあった。 石合さんは「都筑区のみなさまには応援していただいて、ほんとうに感謝しています。畑澤区長はじめ、地域振興課、後援会のみなさま、区商連など。チームのスタッフも選手も力づけられています」と語った。 「Y銀行ではビー・コルセアーズ応援定期預金を始めました。紳士服のAは全員分のスーツを新調してくれました。ほかにも物心両面で応援してくださる企業がたくさんあります」 ビー・コルセアーズも、地域に愛されるチームになりたいと貢献活動をしている。区民まつりではサイン会をしたり、所属するチアリーダー「B-ROSE」のパフォーマンスも行われた。公認のチアリーダーの教室も区内で開いている。公式試合が始まったばかりというのに、ビー・コルが町に溶け込んでいる。まさにビー・コルがあるまち都筑。
Bリーグが発足する前に、プロバスケットボールにはbjリーグ(24チーム)とNBLナショナルチーム(8チーム)があった。横浜ビー・コルセアーズは、2011年からbjリーグの一員だった。国内に2つのリーグがあると、国際試合で認めらない。合同して出来たのがBリーグだ。 Bリーグには1部に18チーム、2部に18チーム、3部に9チームがある。ビー・コルセアーズが最高峰のB1への参入が決まったのは、2015年の8月。 「たくさんのチームの中からB1に参入できたのはなぜですか」 「B1に参入できる条件はいろいろあります。まず運営会社がしっかりしていることです。実はbj時代は、1年目は3位、2年目は優勝しました。チームは強いのに経営がうまくいかなかったので、岡本尚博氏(現在は横浜ビー・コルセアーズの最高責任者)に、再建が託されました」 「2つ目の条件は、5000人以上収容できる体育館をホームグランドとして使えることです。横浜国際プールはこれを満たしています」 「3つ目は地域の支援を得られることですが、すでにお話したように、横浜市長や市民局、区長や地域振興課が熱心に支援してくださっています」 「ところで、チーム名のコルセアーズは、海賊たちという意味ですね。勇ましい名前ですが、名付け親はいるんですか」 「特定の命名者はいません。公募で集まった455案をもとに決めました。横浜で連想するのは、海。海で暴れまわっていたのが海賊。荒波を乗り越える強いイメージの名前に決めました」 「海賊のエンブレム(左)も、垢抜けています。どんな意図でデザインしたのでしょうか」 「海賊帽が船首で「ハ」の字になっています。縁の「マ」と合わせて「ハマ」を表しています」
B1リーグになった時に、メンバーの大半が入れ替わった。12名のうち8名が新メンバー。だからbj時代から続くチームとはいえ、新しく作ったチームと同じだ。「チーム作りには少し時間がかかると思います」と石合さんが話していた。 選手12名のプロフィールは下の表をご覧いただきたい。赤文字の数字は背番号。背番号順に並んでいる。 キャプテンの山田(横浜市旭区)、蒲谷(横須賀市)、竹田(川崎市)、細谷(二宮町)の4名が神奈川県出身である。 外国人はジェフリー・パーマー(アメリカニューヨーク州)とジェイソン・ウオッシュバーン(アメリカオハイオ州)の2人。ファイ・パプ月瑠(むーる)はセネガル出身だが、帰化したので日本人扱い。
「背番号は、1から順番というわけではないんですね。バラエティに飛んでいます」 「学生の場合は、監督が背番号を決める場合が多いのですが、プロは選手が自分で決めます。2ケタまでなら、自由に選んもいいのです。新加入した細谷は初心に帰る意気込みで0、高島はアメリカNBAのサン・アントニオに属するレナード選手と同じ2など、それぞれの選手が背番号に思い入れを持っています」 「身長のことですが、アメリカの2選手とセネガル出身の選手は2メートルを超えています。日本人も190センチがザラですが、中には細谷選手のように173センチと小柄な方がいますね」 「試合を見てくだされば分かりますが、細谷は小柄ですが、ドリブルやパスにスピード感があり、3ポイントの得点率がとても高いんです」 「プロ野球の選手に比べ、年齢が高いですね。30歳以上が7名もいます」 「コルセアーズは、全チームの中でいちばん平均年齢が高いんです。バスケットボールの場合は、経験と頭脳プレーがモノを言うスポーツですから、30歳過ぎがピークです」 経験がモノを言うって、具体的にはどういうことですか」 「試合の流れや人の動きを予測する必要があります。残り時間の使い方も重要になってきます。そういう意味ではサッカーとよく似ています」
いよいよ、都筑区での初試合の日10月22日を迎えた。この日は都筑区応援DAY。新潟アルビレックスBBとの試合開始は18時なのに、すでに16時の開場を待ちきれない人が列をなしていた。試合開始2時間前に入場しても退屈はしない。グッズの販売もあるし、フリースローの点を競うゲームや、3D動画の上映もある。コートでは、両チームの選手がシュートの練習をしている。 神奈川シェイクアウトの防災訓練、消防音楽隊のパフォーマンスに続き、B-ROSEによるオープニングパフォーマンスもあり、会場は華やかな雰囲気に包まれた。選手入場のあとは、畑澤区長が「つづきあいちゃん」と一緒に挨拶。
18時、Tip-off。ティップオフは、第1ピリオドの開始時のジャンプボールのことを言う。要するに試合開始。ビー・コルのスタメンは、細谷・川村・高島・パーマー・ウオッシュバーンの5選手。 プロのバスケ試合を初めて観戦した私は、スピードあふれる動き、ドリブルの巧みさ、パス回し、シュートのどれもが驚きであり、一瞬も目が離せなかった。フェンスがないしコートもサッカーに比べ狭い。ぶつかりあい、息遣いまで聞こえてくる気がして興奮してしまった。 「ゴー!ゴー!ビーコル!」というブースター(バスケファン)の大合唱。コンサート会場にいるかのような光と音の演出に、いやがうえでも気分は盛り上がる。 第1ピリオドは14-19で新潟勝利、第2ピリオドが終わった時は、31-28で横浜勝利、ハーフタイム後の第3ピリオドが終わった時もは59-55で横浜勝利。ところが最後の最後に逆転されて75-80。 都筑区での初戦は負けてしまったが、3748人の観衆は「良い試合を見せてくれた!次は頑張って!」の気持ちをこめて、暖かい拍手を送った。この試合でビー・コルチームのMVPは、細谷選手。3ポイントなど合計で13得点をあげた活躍が認められた。
B1リーグの18チームは、東地区、中地区、西地区に分かれている。地域の片寄は少しあるが、北海道から沖縄まで全国にわたっている。東地区は、レバンガ北海道、仙台89ERS、秋田ノーザンハピネッツ、栃木ブレックス、千葉ジェッツ、アルバルク東京。 中地区は、サンロッカーズ渋谷、川崎ブレイブサンダース、横浜ビー・コルセアーズ、新潟アルビレックスBB、三遠ネオフェニックス。富山グラウジーズ。 西地区はシーホース三河、名古屋ダイヤモンドドルフィンズ、滋賀レイクスターズ、京都ハンナリーズ、大阪エヴェッサ、琉球ゴールデンキングス。 ビー・コルセアーズは、中地区の5チームと対戦することが多いが、東地区と西地区のチームとも少なくても1回ずつ対戦するように組まれている。 11月と12月の日程は左の表。来年1月から5月までの日程は、ビー・コルセアーズのHPで確認してほしい。 バスケットボールは学校の授業でやっただけ、プロの試合を1度も見たことがなかったので、ビー・コルセアーズの取材は少し気が重かった。でも石合さんの説明を聞いた後に見た試合は、気の重さなどぶっ飛ばすほど爽快で元気がもらえた。今のところ中地区の中では低迷しているが、だからこそ「みんなで応援していきたい。ビー・コルがあるまち都筑を盛り上げたい。そのためには、どの試合も国際プールを満席にしたい」と、心から思った。 (2016年10月取材 HARUKO記) |