ボーカル教室の講師・大野圭子さん(左)を訪問してきた。ヴォーカル・スクール ヴィーナス横浜北校は、センター北駅から徒歩3分の中川中央1-21-1パルコプレチオーゾのビル3階にある。

「ボーカル教室が、歌唱指導をしていることは想像がつく。具体的にどんな風に教えているんだろう」。インタビュー前に練習風景を見学したいと思い、約束の時間より早めに行ってみた。

「第三者がいると嫌がる方もいるので、外側から見てください」とやんわり断わられてしまったが、考えてみると無理もない。発表の場でもないし、レッスン中の歌を他人に聴かれたくない気持ちはよく分かる。

大野さんは、レッスンが終わってすぐにも関わらず、2時間の取材に笑顔で応じてくれた。ボーカル教室の講師として生徒に対する思いやライブ活動のことなどを話しているうちに、約束の時間がすぐ終わってしまった。


 ひとりひとりに合わせたレッスン


看板ヴォーカル・スクール ヴィーナス(左)は、カリキュラムをこなしていく教え方をしていない。

「カリキュラムがないと、どのようにしてレッスンをしているんですか」

「生徒さんひとりひとりのペースに合わせて教えています。ご自分が好きなCDを持ってきて、こんな風に歌えるようになりたいとおっしゃる方もいますよ」

「声の質も技量もひとりひとり違います。個人レッスンなので、生徒さんの苦手な部分を重点的に改善することができます」

「まずは歌う楽しみや喜びを味わって欲しいんです。楽しんで歌っていれば、おのずと歌も上達します」


教室では、無料体験申込を受け付けている。興味がある方は、気軽に試してみたらどうだろうか。


レッスンの目的はさまざま 


レッスンが終わったばかりの60代の男性に「ボーカル教室に通いはじめた動機はなんですか」と聞いてみた。

「現役のサラリーマン時代は、カラオケから逃げていたんです。でも退職後にこれじゃいけないと思うようになったんです。一般的なカラオケ教室は人数も多いし発声方法などは教えてくれないので、ここに来ました。月2回のレッスンは、とても楽しい。これからは、カラオケで歌える曲を増やしたいです」

「他にどんな生徒さんがいますか」と大野さんに聞いた。

「そうですね。いろいろな方がいますが、”歌っているとストレス発散になる。リズムに乗せてテンポよく歌えるようになりたい”という主婦もいます。ジャズが好きな50代の男性には、主にジャズの歌い方、感情を込めた歌い方に重きを置いています。20歳の男子大学生もいます。彼は本気で音楽をやりたいと思っているので、いろいろな発声法を訓練しています。裏声と地声の両方を鍛えて、ミックスボイスも出せるようにしています」

教室「音楽と身体は関係ないように思われるかもしれませんが、響かせる声を出すには全身の筋肉を使うんです。だから身体の使い方や作り方も、みなさんにお話ししています」

このように、教室に通ってくる動機も歌いたい曲の種類も違う。個人レッスンでなければ、対応できないことがよく分かった。

左写真は教室の風景。譜面台の前に全身が写る大きな鏡がある。この鏡を利用することで、生徒は自分の姿を確認しながら発声練習ができる。講師も複数の角度から生徒の全身を把握できる。


 ジャズ


「音楽に関わりだしたのは、何歳ころですか」

「小学校1年生からピアノを始めました。初めて触った楽器がピアノですが、そこからいろんな楽器に興味がわきました。中学に入学したときにブラスバンド部に入部し、フレンチホルンを担当。2年になったときに転居したので学校も変わりました。でもそこにはブラスバンド部がなかったので、学校外の『こどもの城ユースバンド』に入団。アルトホルンを担当しました」

「大学入学を機にジャズ研究会に入部。ジャムセッションに参加するようになり、ホストミュージシャンに歌への転向を勧められました。しばらくは歌だけで活動していましたが、今はフリューゲルホーンも演奏しています」


フリューゲルホルン 白楽
 
背中を押してくれた ライブハウスオーナーの遺品
トランペットに似たフリューゲルホーン
 
3月に行われた白楽(横浜)の「ラ・フィエスタ」でのライブ
大野さんはボーカルとフリューゲルホーン担当




「その後、音楽活動を続けながらスターバックスで働いていました。当時の私は契約社員という立場。”契約社員の雇用形態を廃止、正社員へ”というニュースが流れてきたので、悩みました。自分にとって何が幸せなのか、私が本当にやりたいことは何なのかを考えた末に、スターバックスを退社することにしました」

「私が音楽の方に向くために背中を押してくれたのは、関内A.B.Smileというライブハウスのマスターでした。なんの気なしに軽い気持ちで言ってくれた言葉だったかもしれませんが、私には前向きに捉えられる言葉でした。そして、歌ってフリューゲルホーンを演奏するようになりました。ところが、スターバックスを退社した2ヵ月後にそのマスターは亡くなってしまいました。今、私はマスターの遺品のフリューゲルホーンを預かっています」


ジャズシンガーとしての日々


会社員を辞めた今は、ボーカル教室の講師の他に、東京や横浜のライブハウスで活動している。そんな日々を綴ったブログも出している。今後のライブ予定も載っているので、ジャズのライブに興味がある方はクリックを。

下の写真は、最近のライブの様子。

麹町 高田馬場
 
麹町(東京)の「パコ」で(3月)


 高田馬場(東京)の「サニーサイド」で(4月)



「何がしたいんだろう?何が幸せか?」と考えた末に、今の仕事を選んだ大野さん。”やりたいことをしている今の生活が幸せ”のオーラが出ていた。
                              (2015年4月訪問  HARUKO記)

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