横濱良品館という、文字通り「横浜生まれの良い品」を扱っているショップがある。でも、店舗があるわけではない。はやりのネットショップだ。

都筑区中川1丁目のハウスクエア「住まいの情報館」4階にある事務所(左)を、2人で訪問してきた。

壁の上部に「特定非営利活動法人 I Loveつづき」と貼ってあるように、横濱良品館は、I Loveつづきのプロジェクトのひとつだ。
 
I Loveつづきは、都筑区大好き!な人たちが集まって、1999年にスタートした。2003年にはNPO法人の資格を取得。

岩室理事長はじめ10数名のスタッフが、もっとステキな街になるように13年以上活動を続けている。


 あったかハート

横濱良品館は、2009年に楽天の横浜支店として始まったが、直接運営の方がやりやすい。2011年11月から自主サイトになった。

左はショップのロゴ。
「あったか♥ハート」のひとことには、ショップの意義や目的がさりげなく含まれている。扱っている商品のほとんどは、障害者福祉施設の作業所や協力企業が作っているものだ。


店長の小西律子さんと副店長の中聡美さんが、応対してくれた。笑顔ではじまり笑顔で終わった2時間。ショップの仕事の楽しさが伝わってくる。

「みんなの街から生まれたすてきなものを、みんなへ発信したいんです」と小西さん。

「都筑区の福祉施設の作業所では、オイシイお菓子やカワイイ雑貨や安全な野菜を作っています。でもPRが不足しているんです。デザイン的に魅力に欠ける品もありました。なんとか売れる商品にできないか。そんなお手伝いをしたい気持ちから、横浜良品館は生まれました」

「ほとんどの福祉施設が、良品館に商品を提供しているんですか」

「声掛けはしました。でも、常に商品を揃えることの難しさもあり、全部の施設は参加していません」

「ショップに参加しているのは、福祉作業所ばかりではないですね」

「地元の店や企業が、作業所とコラボレートして生まれた名産品もあります」

現在は次の15の福祉施設と協力企業が、商品を提供している。

都筑ハーベスト・日総ぴゅあ株式会社・都筑むつみ会・かもめ福祉工房・アスタ荏田・
クラブハウスすてっぷなな・ワーク中川・ごぼうハウス都筑・珈琲工場&百屋・おおぐち工房第2・
酒と米 うちの・コスモス蒔田・消しゴムはんこ工房SAEZURIさえずり・美濃屋あられ製造本舗・
菓子工房スグーリ


それぞれが、手作りのお菓子、ハンドメイドの小物・バッグ、ペット用品、ティー・オーガニック珈琲、野菜・自然派加工食品などを作っている。

扱っている商品は、「I Loveつづき」のスタッフが、「美味しいな」「いいな」「使いやすいな」「かわいいな」「身体にいいな」「こんな物があったら便利だな」と思う物ばかりをセレクトした。「自信を持ってお奨めできます」と、小西さんも中さんも力を込めた。

作業所や商品については、「横濱良品館」のサイトで、写真入りで説明している。交流ステーションのトップページにバナー広告も載っているので、ぜひクリックして欲しい。


 売れ筋の3点

「最近の売れ筋はなんですか」

「ハーブ&ティーとクッキーの詰め合わせと横浜ナポリタンあられの3点です」

取材ノートを広げて椅子に座るや、絶妙なタイミングでハーブ&ティー(左)を出してくれた。甘い香りに包まれて、初対面の店長とのインタビューもうまくいく予感がした。

ハーブ&ティーは、ハーブティーではない。8種のハーブとウバ茶をブレンドしている。細かな作業は、すべて障害者による手作りだ。

製造元の「日総ぴゅあ」は、社員84名のうち66名が障害者。横浜市が、横浜型地域貢献企業として認定している。


10種類のクッキー詰め合わせセット(左)も人気商品だ。ホテルレシピの手作りクッキーとうたっているように、一流ホテルのパティシエに指導してもらった。

クッキーを作っている「おおぐち工房」も、横浜愛育会の通所施設。施設長やスタッフに支えられて、障害をもつ21名のメンバーが心をこめて作業にあたっている。

少しでも焼き加減が違えば、商品にはしていない。いつも変わらない味を徹底していることも、人気の秘密かもしれない。


横浜ナポリタンあられ」(左)は、美濃屋あられ製造本舗(中区小港町)が開発した。

和の「あられ」に、洋の「ナポリタン」味をつけたユニークな風味が人気をよんでいる。宮内庁御用達の「清水屋ケチャップ」の復刻版を使うという念のいれようだ。ケチャップもナポリタンも横浜が発祥ということで生まれた。

日本ナポリタン学会の認定第1号が、「横浜ナポリタンあられ」。

 ちなみに、日本ナポリタン学会は横浜の有志市民が結成した団体で、「I Loveつづき」の岩室理事長は、学会の副会長でもある。

「ナポリタンあられが売れるのは、味はもちろんですが、岩室理事長のPRが大きいんです」と小西さん。

「ナポリタン学会のことはメディアで取り上げられることも多く、6月1日には、TBSの朝の番組”はなまるマーケット”にも出たんですよ。U字工事さんのふたりも、取材に来てくれました」(左)



実物を見たい場合は 

「ネットショップも便利でいいけれど、写真だけでは分からない。実物を見たい!」と思う方も多いと思う。

いちばん手軽なのは、「ほっとカフェNAKAGAWA」にある棚ショップだ。フィットネスハウスパレット中川1F(地下鉄中川駅から徒歩1分)の一角に、棚ショップという形の小さな店が10数軒ある。横濱良品館も小物を置いている。パワーストーンつきフクロウくん、アニマルドアストッパー、私風ヘアゴムのぼんぼりちゃんなど。

6月2日に、中川駅前で開かれた「ふれあいフェスタ」にも出品。大勢のお客さんが足を止めてくれた。

作業所によっては直接買うことも出来るが、横濱良品館オリジナル商品は、作業所では手に入らない。


ほっとカフェNAKAGAWAにある
棚ショップ 

横濱良品館のショップ 

「ふれあいフェスタ」 で商品の
説明をしている


テレワーク


店長の小西さんは、小学生2人のお子さんがいて子育て真っ最中だ。

「毎日事務所に来るのは大変ですね」

「いいえ事務所に来るのは、週に2回ぐらい。作業所のほとんどが、自宅からかなり近い場所にあるので、苦になりません。発注や店長のブログやサイトの更新は、家のパソコン(左)でしています」

「もともとテレワークに関心があったので、今の私にはぴったりの働き方なんです。ワークライフバランスがとれていると思います。肩の力を抜いて楽しみながら、でもお客様や作業所には誠意をもって接したいと思っています。夫も子ども応援してくれるので、家族には感謝してますよ」

テレワークは、簡単にいうと、オフィスと通信回線で結び、自宅などで仕事をすること。私が若いころはまだパソコンなどなかった。子育てをしながら、やりがいのある仕事ができる若い人は幸せだなあと思いながら、取材を終えた。        (2012年6月訪問 HARUKO記)