医療現場の体験
 

1月19日の午後、「昭和大学横浜市北部病院」と「ジョンソン・エンド・ジョンソン(株)」の共催で、ブラック・ジャックセミナーが開かれました。

黒いマントに、つぎはぎの顔。天才医師ブラック・ジャックは、手塚治虫 の漫画「ブラック・ジャック」の主人公です。

中学生に、医師の仕事や医療現場を体験してもらおうというセミナーです。

「ジョンソン・エンド・ジョンソン」は、以前からキッズセミナーを開いていましたが、約2年前にブラック・ジャックセミナーと名前を変更。全国各地で何度も開いていますが、昭和大学横浜市北部病院との共催は初めてです。

コースディレクター(運営の責任者)は、消化器センターの田中淳一教授。またの名前はDoctor J。手術で失敗したことがない、大腸内視鏡手術の第一人者です。

1年前に交流ステーションの「ひと訪問」に登場していただいたご縁で、取材許可をもらいました。 


 開会式
中央棟の9階で受付をすませた参加者は、机の上に準備されたオペガウンに着替えます。体験の前には、マスクや帽子も着用して準備万端。
開会式 開会式
「最近の医学の進歩は、めざましいものがあります。私が子どものころに読んだ小説の世界が、現実になっています。みなさんも医療に夢や興味を持って欲しいです」と田口病院長がご挨拶。院長先生は、ニコニコしながら、体験現場を回っていました。
 

「この病院は横浜市の中核病院に指定されています 。病床数は697床。入院期間が平均で10日以下と少ないのは、負担が少ない腹腔鏡手術の件数が多いからです」と、日高管理課長のお話。たくさんの管理課職員が、各チームの引率など、セミナーを裏で支えていました。
 
 開会式 全員集合
 
Doctor Jこと田中先生は、外科医の仕事について、ユーモラスに話しました。

「病気や怪我を手術で治療するのが、外科医です。手術で大事なのは、チーム全体の和。医師・薬剤師・看護師・技師・栄養士・事務・・。みんなが認め合って協力しないと、うまくいきません。

今は、内視鏡手術が主流になっています。痛みも少ないし、傷も小さいです。女性医にも向いている手術です」


開会式の最後に、全員で記念撮影をしました。定員40名のうち、女子が29名、男子が11名。

以前は、外科医といえば男性が主流でした。今回のセミナーは、外科中心の体験にもかかわらず、女子の参加者が圧倒的に多いのはなぜでしょう。

「女子の方が積極的だ」「医療従事者になりたがっている女子が多い」という声も、聞きました。
 


ブースの体験 
1チーム6名ぐらいの小グループに分かれて、いよいよ医療現場の体験です。私はAチームにお供して、すべてのブースや現場を見学しました。
体験 体験
 
腹腔鏡シュミレーターを使い「腹腔鏡下胆嚢摘出術」の体験です。 実際に動かして胆嚢を切り離しました。全員が成功。

このシュミレーターは、医学生や研修医ばかりでなく、日々研鑽に努める医師も使っています。1台がなんと2000万円。

自動縫合器・吻合器を使って、胃や腸を縫い合わせたり、つないだりします。文房具のホッチギスと似ている器械です。

縫い合わせる瞬間には、チーム全員で「ファイヤー!」と気合を入れます。このときも「ファイヤー!」が部屋に響きました。 
体験 体験
 
人工皮膚を使って、皮膚縫合体験をします。今でも、「縫う」という操作は手術の基本だそうです。自然に溶ける糸を使っているので、体内に残っても安全です。

お裁縫の時間みたいですね。 

 
AED(自動体外式除細動器)を使って、救急救命の体験をしました。電磁ショックを与えたり、心臓マッサージのやりかたを習いました。

 突然倒れた人がいたらどうするか。みんなテキパキと役割を果たしていました。

体験 体験
 
実際に使われている内視鏡室の見学です。内視鏡は、消化器の異常を早期発見・早期治療をする器械。

デモの大腸を使って、大腸内部をカメラで撮りました。ゲーム感覚でやれるからか、みんな操作が上手です。

 
手術室に入る前に、念入りに手洗いします。水道栓などに触らない方法を教えてもらいました 。手洗いのあとは、消毒済みのグローブ(手袋)をします。ぴったりしているので、苦労している人もいました。
体験 体験
 
いよいよ実際に使われている手術室に入ります。胸腔鏡下手術の模擬体験をしました。胸腔鏡は、肺やその周辺の病気の治療に使います。

画面を見ながらの操作は、みんな上手。「腹腔手術の初期はアメリカでも、任天堂オペレーションと言われたんですよ」の説明もありました。ゲームの感覚に似ていることからだそうです。

 
最後の体験は、超音波メスを使った手術体験です。超音波メスは、1秒間に55000回も振動します。その振動を使って、患部の切り離しや止血 をします。身体への負担が少ない方法です。

この日は、鶏肉を使って、患部の切り離しを練習しました。

調理実習みたいですね。


 終了式
終了式 
2 時間半にもわたる体験を次々こなした中学生は、疲れもみせずに、終了式に参加しました。

DoctorJこと田中教授から「未来の医師認定証」を、ひとりひとり渡されました。

「どの体験も面白かった〜」「将来は医療関係の仕事につきたい」など目を輝かせていた中学生。

このようなセミナーを開催してくれた「昭和大学横浜市北部病院」と「ジョンソン・エンド・ジョンソン」に感謝したいですね。

                                                                 (2013年1月取材 HARUKO記)

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